平成の思い出

「平成で印象に残った出来事は何か?」と聞かれれば、私は1995年の2つの出来事を挙げるでしょう。
いずれも私の価値観に変化を与えた出来事です。

阪神・淡路大震災

1つは1月に起こった阪神・淡路大震災です。

当時、関西に地震は来ないと世間ではいわれていました。
私の家は神戸からは離れていたものの、それでも震度は3(現在の震度4に相当)ありました。

さすがに家が壊れるとまでは思いませんでしたが、「これ以上大きく揺れると本当に危ない」と思いました。

その直後、学校に行き同級生と地震の話をしたのですが、インターネットがない時代なので、他の町のことは分かりません。てっきり自分たちの町が一番大きく揺れた地域だと思っていました。

夕方家に帰り、ようやくテレビで阪神・淡路地域の現状を知ることになります。
燃える神戸の街や、落ちた阪神高速などが衝撃的でした。

一般的に「日本は安全」とか「日本人はしっかりとした(建築)物を作る」などと言われていましたが、それが本当なのか、疑問を感じるきっかけのひとつになったのがこの地震でした。

地下鉄サリン事件

もう1つ、記憶に残る出来事は3月に起きた地下鉄サリン事件です。
無差別テロというのが衝撃的でした。

それまでの日本では、いくら凶悪犯でも無関係の人間には危害を加えないという不文律があった気がします。

もちろんこれまでも自暴自棄になった者が人を殺すということはあったし、たまたま事件現場に遭遇したものが巻き添えで殺されるということもありました。あるいは無関係の人間を殺すぞと脅迫する(でも実際は殺すつもりはない)といった事件もありました。

けれど地下鉄サリン事件のように「目的を達成するため」「計画的に」「無差別に人を殺す意図を持ち」「実際に殺す」というのは類例がほとんどないのではないかと思います。

その後、警察の捜査によって松本サリン事件などの一連のオウム事件が発覚するのですが、とにかく「自分の目的のためには無関係な人間を殺してもかまわないと考えている人間がいる」という事実が驚きでした。

阪神・淡路大震災も地下鉄サリン事件も、単体でも大きな出来事ですが、それが続いたことにより、「今までとは少し違う時代になったな」 と思ったのです。